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言語の比較・対照/そのための多言語学習

日本語の《コピュラ文》

 日本語のコピュラ文「AはBだ」について書く。

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基本的なしくみ

 日本語のコピュラ文は「AはBだ」のように言う。ふつう,AやBに入るのは名詞(代名詞を含む)や名詞句である。

  1. 私は日本人だ。
  2. これは私の傘だ。

 「元気な」「簡単な」のようなナ形容詞は,「だ」を伴ってBに入ることができる。述語が「名詞+だ」の場合と「ナ形容詞」の場合で違いはほとんどないため,ここでは以下のような文もコピュラ文と見なす。

  1. 彼は元気だ。
  2. この問題は簡単だ。

 「だ」は,くだけた話し言葉では省略されることがある。また,「Bだ」の部分は,文体によって以下のような違いがある。

文体の違い

ダ体 Bだ
デアル体 Bである
デス・マス体 Bです

 

その他の場合

 否定文は「Bだ」を否定形にする。文体による違いは以下のとおり。

「Bだ」の否定形

ダ体/デアル体 Bではない
デス・マス体 Bではないです
Bではありません
  1. 私は日本人ではない。
  2. この問題は簡単ではありません。

 疑問文は主に,文末に「か」をつける方法と,「か」をつけずにイントネーションを上昇調にする方法がある。

疑問文と文体

ダ体/デアル体 Bか?
B?
デス・マス体 Bですか?
Bです?

 ただし,このうち「Bです?」という形は非文法的とされる。また,「Bか?」という形は,特にBが疑問詞を含む場合はあまり使われない。

  1. あなたは日本人ですか?
  2. お父さんは元気ですか?
  3. これは何?

メモ1

 「はい」か「いいえ」で答える疑問文で,Bが名詞の場合は,「はい,そうです」「いいえ,違います/そうではありません」のように答えることができる。

 しかし,Bがナ形容詞の場合は,「そうです」や「違います/そうではありません」を使うことはできない。この場合は同じ語を繰り返して答える。例文6への返答なら「元気です」「元気ではないです」など。

 

用例

 いくつか例文を書いておく。

  1. あなたたちは韓国人ですか?
  2. この問題は簡単ですか?
  3. 今日は土曜日ではありません。
  4. 英語を話すのは簡単ではない。
  5. この時計は私のです。
  6. 趣味は映画を見ることです。

メモ2

 「AはBだ」のAやBには基本的に名詞(句)が入る。しかし,「の」や「こと」などの形式名詞を使って名詞化すると,例文11の「英語を話すの」や例文13の「映画を見ること」のように,名詞以外の要素をAやBに入れることができる。

 

参考文献

  • 『初級を教える人のための日本語文法ハンドブック』スリーエーネットワーク,2000年,松岡弘(監修),庵功雄,高梨信乃,中西久実子,山田敏弘(著)

 

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