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スロヴェニア語の《コピュラ文》

 スロヴェニア語のコピュラ文「AはBだ」について書く。

  • 目次-CONTENTS-

 

基本的なしくみ

 スロヴェニア語で「AはBだ」を言うには,動詞bitiを用いる。現在形なら,主語の人称と数によって以下のように活用する。

bitiの現在形

  単数 双数 複数
1人称 sem sva smo
2人称 si sta ste
3人称 je sta so
  1. Jaz sem študent.
  2. 私は学生です。
  3. Moj oče je Slovenec.
  4. 私の父はスロヴェニア人です。

 動詞の活用や文脈などによって主語が明らかな場合,主語の人称代名詞は省略される。

  1. Študent sem.
  2. 私は学生です。
  3. Slovenec je.
  4. 彼はスロヴェニア人です。

 bitiの現在形は前接語と呼ばれ,ふつう文頭から2番目の位置に置かれる。この規則により,上の例文3ではštudent「学生」が,例文4ではSlovenec「スロヴェニア人」が1番目になっている。

 

その他の場合

 bitiには以下のような否定形があり,やはり主語の人称・数に従って活用する。肯定形と違って否定形は前接語ではなく,2番目に置くような決まりはない。

bitiの否定形

  単数 双数 複数
1人称 nisem nisva nismo
2人称 nisi nista niste
3人称 ni nista niso
  1. Nismo študenti.
  2. 私たちは学生ではない。
  3. Niso Japonci.
  4. 彼らは日本人ではない。

 

用例

 いくつか例文を書いておく。

  1. Ljubljana je glavno mesto Slovenije.
  2. リュブリャナはスロヴェニアの首都です。
  3. To je zastava Slovenije.
  4. これはスロヴェニアの国旗です。
  5. To so japonski študenti.
  6. これは日本の学生たちです。
  7. A je Slovenec?
  8. 彼はスロヴェニア人ですか?
  9. Kaj je to?
  10. これは何ですか?
  11. Ta soba je velika.
  12. この部屋は大きい。
  13. Govoriti slovensko je težko.
  14. スロヴェニア語を話すのは難しい。

メモ1

 to「これは~」が主語のコピュラ文では,bitiは補語(B)の人称・数に合わせて活用する。例えば,例文9ではjaponski študenti「日本の学生たち」が複数形なので,3人称・複数形のsoを使っている。

 動詞不定形が主語の場合,述語の動詞や形容詞は3人称・単数・中性形になる(例文13)。

メモ2

 「はい」か「いいえ」で答える疑問文は,文頭にaまたはaliを置いて作る(例文10)。aliのほうが文語的。なお口語では省略されることもある。

 疑問詞を使った疑問文では,疑問詞が文頭に来る(例文11)。

 

参考文献

  • 『スロヴェニア語文法』三修社,2022年,金指久美子

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