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ヒンディー語の《コピュラ文》

 ヒンディー語のコピュラ文「AはBだ」について書く。ラテン文字への翻字については,「デーヴァナーガリー文字の翻字」を参照。

  • 目次-CONTENTS-

 

基本的なしくみ

 ヒンディー語で「AはBだ」と言う場合,動詞होना(honā)を使って「A B 動詞」の語順になる。現在形は,主語の人称と数によって以下のように活用する。

होनाの現在形

  単数 複数
1人称 हूँ
hū̃
हैं
hãĩ
2人称 है
hai
3人称
親称   हो
ho
  1. मैं जापानी हूँ।
  2. mãĩ jāpānī hū̃.
  3. 私は日本人だ。
  4. यह अनन्नास है।
  5. yah anannās hai.
  6. これはパイナップルです。

 疑問詞のない疑問文は,文末のイントネーションを上げる。疑問の印として文頭にक्या(kyā)を置くこともできる。このक्याは,疑問詞「何」の意味も持つ。

  1. क्या आप जापानी हैं?
  2. kyā āp jāpānī hãĩ?
  3. あなたは日本人ですか?
  4. यह क्या है?
  5. yah kyā hai?
  6. これは何ですか?

 否定文は,動詞の前にनहीं(nahī̃)を置く。

  1. यह अनन्नास नहीं है।
  2. yah anannās nahī̃ hai.
  3. これはパイナップルではありません。

メモ1

 人称代名詞आप(āp)は2人称・複数形だが,一人の相手に対しても用いる。2人称代名詞としては最も丁寧かつ無難な言い方。

 तुम(tum)も2人称・複数形で,一人の相手に対しても使う。こちらは目下の人に対して,または夫婦・兄弟など親密な間柄での言い方。活用形が異なるので,上の活用表では,親称として独立させた。

 

その他の場合

 現在形以外の時制も同じく,動詞होना(honā)の活用形を用いる。例えば過去形の場合は,主語の性と数によって以下のように活用する。

होनाの過去形

  単数 複数
男性 था
thā
थे
the
女性 थी
thī
थीं
thī̃
  1. वह मेरा दोस्त था।
  2. vah merā dost thā.
  3. 彼は私の友人だった。

 

用例

 現在形の範囲でいくつか例文を書いておく。

  1. नई दिल्ली भारत की राजधानी है।
  2. naī dillī bhārat kī rājdhānī hai.
  3. ニューデリーはインドの首都だ。
  4. हिंदी भारत की आधिकारिक भाषा है।
  5. hindī bhārat kī ādhikārik bhāṣā hai.
  6. ヒンディー語はインドの公用語だ。
  7. यह मेरा शब्दकोश है।
  8. yah merā śabdakoś hai.
  9. これは私の辞書です。
  10. यह मेरी किताब है।
  11. yah merī kitāb hai.
  12. これは私の本です。
  13. जापानी कठिन है।
  14. jāpānī kaṭhin hai.
  15. 日本語は難しい。
  16. देवनागरी सुंदर है।
  17. devanāgarī sundar hai.
  18. デーヴァナーガリー文字は美しいです。
  19. यह किताब पुरानी है।
  20. yah kitāb purānī hai.
  21. この本は古い。

メモ2

 ヒンディー語の形容詞には変化するものとしないものがある。例文11のकठिन(kaṭin)「難しい」や,例文12のसुंदर(sundar)「美しい」は変化しない形容詞。

 一方、पुराना(purānā)「古い」という形容詞は,語尾の-āの部分が変化し,例文13では女性形-īになっている(किताब(kitāb)「本」が女性名詞のため)。

 

参考文献

  • 『ニューエクスプレス ヒンディー語(CD付)』白水社,2008年,町田和彦

 

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