ヒンディー語のコピュラ文「AはBだ」について書く。ラテン文字への翻字については,「デーヴァナーガリー文字の翻字」を参照。
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基本的なしくみ
ヒンディー語で「AはBだ」と言う場合,動詞होना(honā)を使って「A B 動詞」の語順になる。現在形は,主語の人称と数によって以下のように活用する。
होनाの現在形
単数 | 複数 | |
---|---|---|
1人称 | हूँ hū̃ |
हैं hãĩ |
2人称 | है hai |
|
3人称 | ||
親称 | हो ho |
- मैं जापानी हूँ।
- mãĩ jāpānī hū̃.
- 私は日本人だ。
- यह अनन्नास है।
- yah anannās hai.
- これはパイナップルです。
疑問詞のない疑問文は,文末のイントネーションを上げる。疑問の印として文頭にक्या(kyā)を置くこともできる。このक्याは,疑問詞「何」の意味も持つ。
- क्या आप जापानी हैं?
- kyā āp jāpānī hãĩ?
- あなたは日本人ですか?
- यह क्या है?
- yah kyā hai?
- これは何ですか?
否定文は,動詞の前にनहीं(nahī̃)を置く。
- यह अनन्नास नहीं है।
- yah anannās nahī̃ hai.
- これはパイナップルではありません。
メモ1
人称代名詞आप(āp)は2人称・複数形だが,一人の相手に対しても用いる。2人称代名詞としては最も丁寧かつ無難な言い方。
तुम(tum)も2人称・複数形で,一人の相手に対しても使う。こちらは目下の人に対して,または夫婦・兄弟など親密な間柄での言い方。活用形が異なるので,上の活用表では,親称として独立させた。
その他の場合
現在形以外の時制も同じく,動詞होना(honā)の活用形を用いる。例えば過去形の場合は,主語の性と数によって以下のように活用する。
होनाの過去形
単数 | 複数 | |
---|---|---|
男性 | था thā |
थे the |
女性 | थी thī |
थीं thī̃ |
- वह मेरा दोस्त था।
- vah merā dost thā.
- 彼は私の友人だった。
用例
現在形の範囲でいくつか例文を書いておく。
- नई दिल्ली भारत की राजधानी है।
- naī dillī bhārat kī rājdhānī hai.
- ニューデリーはインドの首都だ。
- हिंदी भारत की आधिकारिक भाषा है।
- hindī bhārat kī ādhikārik bhāṣā hai.
- ヒンディー語はインドの公用語だ。
- यह मेरा शब्दकोश है।
- yah merā śabdakoś hai.
- これは私の辞書です。
- यह मेरी किताब है।
- yah merī kitāb hai.
- これは私の本です。
- जापानी कठिन है।
- jāpānī kaṭhin hai.
- 日本語は難しい。
- देवनागरी सुंदर है।
- devanāgarī sundar hai.
- デーヴァナーガリー文字は美しいです。
- यह किताब पुरानी है।
- yah kitāb purānī hai.
- この本は古い。
メモ2
ヒンディー語の形容詞には変化するものとしないものがある。例文11のकठिन(kaṭin)「難しい」や,例文12のसुंदर(sundar)「美しい」は変化しない形容詞。
一方、पुराना(purānā)「古い」という形容詞は,語尾の-āの部分が変化し,例文13では女性形-īになっている(किताब(kitāb)「本」が女性名詞のため)。
参考文献
- 『ニューエクスプレス ヒンディー語(CD付)』白水社,2008年,町田和彦