このブログで用いるデーヴァナーガリー文字のラテン文字化について書く。当ブログでデーヴァナーガリー文字をラテン文字に変換する場合は,以下の方法に従う。
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ヒンディー語
ヒンディー語の場合は,基本的には綴りを参考に以下の対応表にしたがって翻字する。例外的に,潜在母音のaは発音を元に転写する。
母音字の翻字
अ
a
आ
ā
इ
i
ई
ī
उ
u
ऊ
ū
ऋ
ri
ए
e
ऐ
ai
ओ
o
औ
au
ऍ
ê
ऑ
ô
ऋ(ri)は伝統的に母音字に含まれる。
母音記号の翻字
a以外の母音字には対応する母音記号があり,子音字にくっつけて使う。例としてक(k)に母音記号をつけた場合の翻字を書いておく。
का
kā
कि
ki
की
kī
कु
ku
कू
kū
कृ
kri
के
ke
कै
kai
को
ko
कौ
kau
कॅ
kê
कॉ
kô
子音字の翻字
क
k
ख
kh
ग
g
घ
gh
ङ
ṅ
च
c
छ
ch
ज
j
झ
jh
ञ
ñ
ट
ṭ
ठ
ṭh
ड
ḍ
ढ
ḍh
ण
ṇ
त
t
थ
th
द
d
ध
dh
न
n
प
p
फ
ph
ब
b
भ
bh
म
m
य
y
र
r
ल
l
व
v
श
ś
ष
ṣ
स
s
ह
h
ड़
ṛ
ढ़
ṛh
क़
q
ख़
x
ग़
ǧ
ज़
z
झ़
ž
फ़
f
1母音記号のつかない子音字には潜在的にaの母音が含まれている。この潜在母音のaは,発音される場合と発音されない場合があるので,発音される場合だけaと転写する。
दस(das)
「10」
करना(karnā)
「する」
जनवरी(janvarī)
「1月」
2チャンドラ・ビンドゥ(ँं / ं)のついた字母は,チルダをつけてãのように翻字する。
पाँच(pā̃c)
「5」
मैं(mãĩ)
「私」
3鼻子音記号(ं)を用いた表記は,鼻子音記号を使わない表記と同じように翻字する。すなわち,次の子音に対応した鼻子音(ṅ, ñ, ṇ, n, m)を用いる。
हिंदी / हिन्दी(hindī)
「ヒンディー語」
नवंबर / नवम्बर(navambar)
「11月」
4ह(h)を含む語は綴りと発音が異なることもあるが,原則として綴りに合わせて翻字する。
ग्यारह(gyārah)
「11」
छह(chah)
「6」
5ヴィサルガ(ः)はḥで翻字する。
अंततः(antataḥ)
「ついに」
その他,どうするべきか困ったら,基本的には綴りに合わせて翻字する。あるいは,その都度,上に補足を追加して対処する。
サンスクリット語
サンスクリット語のデーヴァナーガリー文字は,以下の対応表に従って翻字する。ऋ, ॠ, ऌ, ॡの翻字には,r̥, r̥̄, l̥, l̥̄を用いる(字母の下に白丸をつける)ことに注意。
母音字
अ
a
आ
ā
इ
i
ई
ī
उ
u
ऊ
ū
ऋ
r̥
ॠ
r̥̄
ऌ
l̥
ॡ
l̥̄
ए
e
ऐ
ai
ओ
o
औ
au
上記の母音に対応する母音記号も,それぞれ対応する母音字と同様に翻字する。
記号
ं
ṃ
ः
ḥ
子音字
क
k
ख
kh
ग
g
घ
gh
ङ
ṅ
च
c
छ
ch
ज
j
झ
jh
ञ
ñ
ट
ṭ
ठ
ṭh
ड
ḍ
ढ
ḍh
ण
ṇ
त
t
थ
th
द
d
ध
dh
न
n
प
p
फ
ph
ब
b
भ
bh
म
m
य
y
र
r
ल
l
व
v
श
ś
ष
ṣ
स
s
ह
h
子音字は,母音記号がつくときにはその母音をつけて翻字し,母音記号がつかないときはaをつけて翻字する。
参考文献
- 『ニューエクスプレス ヒンディー語(CD付)』白水社,2008年,町田和彦
- 「Devanagari - Wikipedia」2023/11/20閲覧
- 『ニューエクスプレスプラス サンスクリット語(CD付)』白水社,2021年,石井裕