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言語の比較・対照/そのための多言語学習

ヘブライ語の《コピュラ文》

 ヘブライ語のコピュラ文「AはBだ」について書く。ラテン文字への転写については「ヘブライ文字の転写」を参照。以下,ヘブライ文字は右から左へ書くが,転写や日本語訳は左から右へ書く。

  • 目次-CONTENTS-

 

基本的なしくみ

 ヘブライ語で「AはBだ」と言うとき,現在形ではAとBを並べるだけで良い。

  1. .אני צייר
  2. ani tsayar.
  3. 私は画家です。
  4. .הוא סטודנט
  5. hu student.
  6. 彼は学生だ。

 疑問詞のない疑問文「AはBですか?」は文末を上げるイントネーションにする(文章では文末にクエスチョンマークを置くだけ)。否定文は,Bの前にלא(lo)を置く。

  1. ?אתה יפני
  2. ata yapáni?
  3. あなたは日本人ですか?
  4. .אני לא יפני
  5. ani lo yapáni.
  6. 私は日本人ではありません。

 

その他の場合

 過去形や未来形など現在形以外では動詞היה(haya)を使う。例えば過去形の場合,היהは主語の人称・性・数によって以下のように活用する。

היהの過去形

  単数 複数
3 男 היה
haya
היו
hayu
3 女 הייתה
hayta
2 男 היית
hayíta
הייתם
hayítem
2 女 היית
hayit
הייתן
hayíten
1 הייתי
hayíti
היינו
hayínu

 動詞の活用で主語の人称・数が分かるので,1人称・2人称の代名詞「私」や「あなた」などは省いて良い。

  1. .הייתי צייר
  2. hayíti tsayar.
  3. 私は画家だった。
  4. .הוא היה סטודנט
  5. hu haya student.
  6. 彼は学生だった。

 

用例

 現在形の例文をいくつか書いておく。

  1. .היא יפה
  2. hi yafa.
  3. 彼女は美しい。
  4. .העיר הזאת גדולה
  5. ha-ir ha-zot gdola.
  6. この街は大きい。
  7. .החדר הזה קטן
  8. ha-khéder ha-ze katan.
  9. この部屋は小さい。
  10. .היום קר
  11. ha-yom kar.
  12. 今日は寒い。

メモ1

 形容詞は名詞を修飾するときも,述語として使われるときも,関係する名詞の性・数に合わせて語尾が変化する。例文10のように主語なしで述語として使われるときは,形容詞は男性・単数形を用いる(ここでは「今日」は主語ではなく,時間を表す副詞的表現)。

 指示代名詞も関係する名詞の性・数に合わせて変化する。例文8の「この街」のように名詞を限定するときは,名詞と指示代名詞の両方に定冠詞(ha-)をつける。

  1. ?מה זה
  2. ma ze?
  3. これは何ですか?
  4. .זה המילון שלי
  5. ze ha-milon sheli.
  6. これは私の辞書です。
  7. .יפנית שפה קשה
  8. yapánit safa kasha.
  9. 日本語は難しい言語だ。
  10. .מעניין ללמוד עברית
  11. meʼanyen lilmod ivrit.
  12. ヘブライ語を学ぶのは面白い。

メモ2

 例文14のללמוד עברית(lilmod ivrit)は「ヘブライ語を学ぶこと」で,ここでは文の主語になっている。不定詞を使った表現。

 

参考文献

  • 『ニューエクスプレス 現代ヘブライ語(CD付)』白水社,2013年,山田恵子

 

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