アラビア文字のラテン文字化について書く。このブログでアラビア文字をラテン文字表記する場合は,すべて以下の方法に従う。
ちなみに,アラビア文字は右から左に向かって書かれるが,アラビア文字のラテン文字表記は左から右に向かって書く。
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アラビア語
アラビア語のアラビア文字は,以下の要領で発音をラテン文字に転写する。母音は母音記号などによって表記されるが,記号はほとんどの場合省略されるので,このブログでも基本的には書かない。以下,子音,母音記号,その他の記号の順で,アラビア文字とラテン文字転写の対応表を示す。
子音
ب
b
ت
t
ث
th
ج
j
ح
ḥ
خ
x
د
d
ذ
dh
ر
r
ز
z
س
s
ش
š
ص
ṣ
ض
ḍ
ط
ṭ
ظ
ẓ
ع
ʽ
غ
ǧ
ف
f
ق
q
ك
k
ل
l
م
m
ن
n
ه
h
و
w
ي
y
ء
ʼ
ة
t
母音記号
-
بَ
ba
-
بِ
bi
-
بُ
bu
-
بَا
bā
-
بِي
bī
-
بُو
bū
-
بَي
bay
-
بَو
baw
-
بً
ban
-
بٍ
bin
-
بٌ
bun
上の表は,各母音記号を子音ب(b)に付けた例。長母音(ā,ī,ū)や二重母音(ay, aw)は,母音記号とا ي وの組み合わせで表される。
その他の記号
-
بْ
b
-
بّ
bb
上の表は,各記号を子音ب(b)に付けた例。
このほかにも様々な子音・母音の表記や記号があるが,発音が同じであればここで示したのと同じラテン文字に転写する。発音されない場合はラテン文字には転写しない。
ペルシア語
ペルシア語のアラビア文字(ペルシア文字)は,以下の要領で発音をラテン文字に転写する。母音は発音記号などによって表記されるが,記号はほとんどの場合省略されるので,このブログでも基本的には書かない。以下に,子音,母音,その他の記号の順で,アラビア文字とラテン文字転写との対応表を示す。
子音
ب
b
پ
p
ت
t
ث
s
ج
j
چ
č
ح
h
خ
x
د
d
ذ
z
ر
r
ز
z
ژ
ž
س
s
ش
š
ص
s
ض
z
ط
t
ظ
z
ع
ʼ
غ
ǧ
ف
f
ق
ǧ
ک
k
گ
g
ل
l
م
m
ن
n
و
v
ه
h
ی
y
母音
-
بَ
ba
-
بِ
be
-
بُ
bo
-
با
bâ
-
بی
bi
-
بو
bu
-
بِی
bey
-
بُو
bow
上の表は,各記号を子音ب(b)に付けた例。a, e, oは発音記号によって,â, i, uはا ی وによって,二重母音は発音記号とی وの組み合わせで表されるが,最初に書いたとおり,発音記号はふつう省略される。
その他の記号
-
بْ
b
-
بّ
bb
上の表は,各記号を子音ب(b)に付けた例。
このほかにも様々な子音・母音の表記や記号があるが,発音が同じであればここで示したのと同じラテン文字に転写する。
ウルドゥー語
ウルドゥー語のアラビア文字(ウルドゥー文字)は,以下の要領で発音をラテン文字に転写する。以下に,子音,母音に分けてアラビア文字とラテン文字転写の対応表を示す。
子音
ب
b
پ
p
ت
t
ٹ
ṭ
ث
s
ج
j
چ
c
ح
h
خ
x
د
d
ڈ
ḍ
ذ
z
ر
r
ڑ
ṛ
ز
z
ژ
ž
س
s
ش
š
ص
s
ض
z
ط
t
ظ
z
غ
ǧ
ف
f
ق
q
ک
k
گ
g
ل
l
م
m
ن
n
و
v
ہ
h
ی
y
母音
ウルドゥー語には短母音が3つ(a, i, u),長母音が7つ(ā, ī, ū, ē, ai, ō, au)ある。また,語末の位置で,前の母音が鼻音化している場合はṇで転写する。母音の表記はいろいろあって表にすると複雑になるので,以下にそれぞれの例を1つずつ示しておく。
گھر(ghar)
「家」
دن(din)
「日」
ملک(mulk)
「国」
نام(nām)
「名前」
تین(tīn)
「3」
پھول(phūl)
「花」
سیب(sēb)
「りんご」
بینک(baink)
「銀行」
لوگ(lōg)
「人々」
نو(nau)
「9」
میں(maiṇ)
「私」
綴りが特殊な場合でも,母音が上のどれかに当てはめられるのなら,上のどれかに当てはめて転写する。母音が特定の環境で上のどれにも当てはまらない音に変化する場合は,その変化はラテン文字転写に反映しない(a, i, u, ā, ī, ū, ē, ai, ō, au以外は使わない)。
参考文献
- 『ニューエクスプレス アラビア語(CD付)』白水社,2010年,竹田敏之
- 『アラビア語文法ハンドブック[増補新版]』白水社,2022年,新妻仁一
- 「Romanization of Arabic - Wikipedia」2025/01/03閲覧
- 『ニューエクスプレス ペルシア語(CD付)』白水社,2012年,浜畑祐子
- 『ペルシア語文法ハンドブック』白水社,2011年,吉枝聡子
- 「Romanization of Persian - Wikipedia」2025/01/03閲覧
- 『ニューエクスプレス ウルドゥー語(CD付)』白水社,2012年,萩田博,萬宮健策