フィンランド語のコピュラ文「AはBだ」について書く。ここでは動詞ollaを使った基本的な文と,状況文を少し取り上げる。
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基本的なしくみ
フィンランド語で「AはBだ」を表すには動詞olla「~だ」を使って,「A(主語) olla B(補語)」のように並べればいい。ollaは主語の人称・数や時制によって活用する。例えば,現在形なら以下のように変化する。
ollaの現在形
単数 | 複数 | |
---|---|---|
1人称 | olen | olemme |
2人称 | olet | olette |
3人称 | on | ovat |
フィンランド語には名詞類に14の格がある。主語は主格。主語が「数えられるもの」を指している場合は,補語も主格になる。
- Minä olen japanilainen.
- 私は日本人です。
- Tämä on hattu.
- これは帽子だ。
一方,主語が「数えられないもの」や,数えられるものの「複数形」を指している場合は,補語は分格になる。
- Me olemme japanilaisia.
- 私たちは日本人です。
- Tämä on vettä.
- これは水だ。
ただし,silmälasit「眼鏡」やsakset「ハサミ」のように,ふつう複数形で使われる名詞の場合は,複数主格になる。
- Nämä ovat uudet silmälasit.
- これは新しい眼鏡だ。
- Nämä silmälasit ovat uudet.
- この眼鏡は新しい。
メモ
動詞が主語の人称・数によって活用するので,主語が1人称・2人称の代名詞の場合は省略することができる。
silmälasit「眼鏡」のような複数形で使われる名詞を指す場合,1個でも指示代名詞は複数形(例文5・6)。
用例
いくつか用例を書いておく。
- Helsinki on Suomen paakaupunki.
- ヘルシンキはフィンランドの首都だ。
- He ovat kauniita.
- 彼女たちは美しい。
- Mikä tämä on?
- これは何ですか?
- Se on minun.
- それは私のです。
- Hän on kotoisin Norjasta.
- 彼はノルウェー出身だ。
- On hauska kuunnella musiikkia.
- 音楽を聴くのは楽しい。
メモ
例文12はkuunnella musiikkia「音楽を聴く」が主語で,hauska「楽しい」が補語。このように不定詞や節が主語になる場合,補語は主格または分格になる。使用頻度の高いものほど主格になりやすい傾向があるとのこと。
状況文
天候・気温・明暗・人間の感覚・季節・曜日など様々な状況を表す文を,『フィンランド語文法ハンドブック』にならって状況文と呼ぶ。状況文にはいろいろな動詞が使われる。ollaも名詞や形容詞を伴って状況文を作ることができる。
- Tänään on kylmä.
- 今日は寒い。
- Havaijissa on lämmin.
- ハワイは暖かい。
- Huomenna on sunnuntai.
- 明日は日曜日だ。
状況文についてはolla以外の動詞も含めて,また別に詳しく記事を書く予定。
その他の場合
ollaはコピュラ文のほかに,存在文・所有文にも使われる。また完了形などで助動詞としても用いられる。
ここで取り上げた以外にも補語が分格になるパターンがいくつかある。詳しくは参考文献の『フィンランド語文法ハンドブック』を参照。
参考文献
- 『フィンランド語文法ハンドブック』白水社,2010年,吉田欣吾
- 『フィンランド語トレーニングブック』白水社,2013年,吉田欣吾