ポーランド語のコピュラ文「AはBだ」について分かる範囲で書く。ここでは基本的なしくみと,非人称文について取り上げる。
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基本的なしくみ
byćを使ったコピュラ文
動詞byćを使って「AはBだ」を表すことができる。byćは現在形・未来形では主語の人称・数に従って活用し,過去形では主語の人称・数と性に従って活用する。この記事では主に現在形を使って話を進めていく。
byćの現在形
単数 | 複数 | |
---|---|---|
1人称 | jestem | jesteśmy |
2人称 | jesteś | jesteście |
3人称 | jest | są |
- Jestem Japończykiem.
- 私は日本人だ。
- Mój ojciec jest lekarzem.
- 私の父は医者だ。
原則として,「AはBだ」のAにあたる名詞は主格,Bにあたる名詞は造格になる。ただし,Bが固有名詞の場合は主格を用いる。
動詞の活用から主語の人称・数が明らかなので,人称代名詞は適宜省略される。
- To jest kawa.
- これはコーヒーだ。
- To są moje okulary.
- これは私の眼鏡だ。
to「これは,それは,あれは」を使って人や物を紹介する文では,Bにあたる名詞は主格になり,Bに合わせて動詞が活用する。例文4ではmoje okulary「私の眼鏡」が複数形なので,動詞も複数形のsąになっている。
- Ta pomarańcza jest słodka.
- このオレンジは甘い。
- Jesteśmy bardzo zmęczeni.
- 私たちはとても疲れている。
述語に用いられる形容詞は主格で,主語の性・数に一致するよう変化する。
toを使ったコピュラ文
ポーランド語には,接続詞toを使ってAとBを結び付けるタイプの文がある。これもここではコピュラ文と見なす。
- Mój ojciec to lekarz.
- 私の父は医者だ。
この場合はAとBに入る名詞はともに主格である。toの後にjestが挿入されることもある。
用例
例文をいくつか書いておく。
- Warszawa jest stolicą Polski.
- ワルシャワはポーランドの首都だ。
- To jest Wisła.
- あれはヴィスワ川だ。
- Jesteśmy Japończykami.
- 私たちは日本人だ。
- To jabłko jest słodkie i pyszne.
- このリンゴは甘くておいしい。
- Mój ojciec jest inżynierem, a matka jest nauczycielką.
- 私の父はエンジニアで,母は教師です。
メモ
例文12のふたつ目のjestは省略することができる。
非人称文
ポーランド語には,主格の主語がない非人称文がある。コピュラを使った以下のような表現も,コピュラ文だと考えられる。
- Dziś jest gorąco.
- 今日は暑い。
- W Warszawie było zimno.
- ワルシャワは寒かった。
主語はないが,dziś「今日は」やw Warszawie「ワルシャワで」のような時間や場所を示す表現が一緒に使われることはある(一見主語のように見える)。動詞の活用の基準となる主語がないので,動詞は常に3人称・単数・中性形になる。
その他の場合
動詞byćはコピュラ文のほかにも,未来形を作る助動詞や,所有・存在を表す文など様々な用法がある。
参考文献
- 『ニューエクスプレス ポーランド語(CD付)』白水社,2008年,石井哲士朗,三井レナータ
- 「to - Wiktionary, the free dictionary」2023/11/02閲覧