ドイツ語のコピュラ文「AはBだ」について書く。ここでは,基本的なしくみと,非人称表現,強調構文を取り上げる。
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基本的なしくみ
ドイツ語で「AはBだ」というには,動詞seinを用いる。基本的には主語の性・数に従って活用する。
seinの現在形
単数 | 複数 | |
---|---|---|
1人称 | bin | sind |
2人称 | bist | seid |
3人称 | ist | sind |
- Er ist Japaner.
- 彼は日本人だ。
- Sie sind Studenten.
- 彼らは学生だ。
国籍・職業・宗教などを表す名詞は,例文1・2のように単に主語の属性を表すだけの場合,ふつう不定冠詞をつけない。不定冠詞をつけると,一般的な属性ではなく個人的な性質・態度などを表す(例文は割愛)。
- Es ist ein schwieriges Problem.
- それは難しい問題だ。
- Deutsch ist schwierig.
- ドイツ語は難しい。
形容詞は名詞を修飾するときには名詞の性・数に一致して変化するが,コピュラとともに述語として用いられる場合は変化しない。例文3のProblem「問題」,例文4のDeutsch「ドイツ語」はともに中性名詞だが,例文4は述語的用法なので格語尾がつかない。
用例
いくつか例文を書いておく。
- Sie ist Lehrerin.
- 彼女は教師だ。
- Ich bin sein Freund.
- 私は彼の友人です。
- Berlin ist die Hauptstadt Deutschlands.
- ベルリンはドイツの首都だ。
- Was ist das?
- これは何ですか?
- Das ist ein Wörterbuch.
- これは辞書です。
- Das sind japanische Romane.
- これらは日本の小説です。
- Es ist schwierig, englisch zu sprechen.
- 英語を話すのは難しい。
- Es ist klar, dass er kein Japaner ist.
- 彼が日本人でないのは明らかだ。
メモ
例文8~10はdas「これ,それ,あれ」を使って人や物を紹介する文。このdasは性・数に関係なく使うことができ,動詞は紹介される人や物の性・数に従って変化する。
例文11・12のesは,後置された主語,englisch zu sprechen「英語で話すこと」やdass er kein Japaner ist「彼が日本人ではないということ」を指している。
非人称表現
- Es ist kalt.
- 寒い。
- Mir ist kalt.
- 私は寒い。
- Es ist 10 Uhr.
- 10時です。
寒暖・明暗・時刻などを表す文で,seinが非人称的に使われる。例文14のようにes以外の要素が文頭に来たとき(=esが文頭以外に来るとき)は,esはたいてい省略される。ちなみにmirはich「私」の3格で,意味的な主語を表す。
メモ
例文15のUhrは省略できる。
強調構文
- Es ist Deutsch, das er lernt.
- 彼が学んでいるのはドイツ語だ。
- Was er lernt, ist Deutsch.
- 彼が学んでいるのはドイツ語だ。
文の一部を取り出して強調する構文。ここではEr lernt Deutsch.「彼はドイツ語を学んでいる」の目的語Deutsch「ドイツ語」が強調されている。強調する要素は,例文16のように前に置かれるか,例文17のように後に置く文もある。
強調構文について詳しくはまた別記事で。
その他の場合
動詞seinはほかにも,存在の意味や、助動詞としての用法もある。
また,コピュラ文を否定文にするとき,多少注意が必要である(nichtを使うのかkeinを使うのか)。詳しくはいずれ否定文のテーマで記事を書くのでそのときに。
参考文献
- 『クラウン独和辞典第4版 CD付き』三省堂,2008年,濱川祥枝(監修),信岡資生(編集主幹)