「韓国語 文法用語について」の記事でも少し触れた,韓国語の用言と活用についてのまとめ。基本的にこのブログで韓国語のことを書くとき,いちいち活用の詳細について説明はしないので,説明の代わりにこの記事へリンクを貼る。
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語基について
このブログでは語基という考え方を使って,用言の活用を示す。
韓国語の用言は,基本形が-다で終わる。基本形は辞書の見出しの形になっている。基本形から-다を取ったものを語幹という。
韓国語では,語幹を3種類のパターンに変化させて,そこに接尾辞や語尾をくっつける。語幹の変化のパターンを「第1語基」「第2語基」「第3語基」と呼ぶ。
돕다「手伝う」の活用例
돕습니다
手伝います
도우면
手伝えば
도와보다
手伝ってみる
例えば돕다「手伝う」の場合は,돔(第1語基),도우(第2語基),도와(第3語基)のように形が変わる。語基がどう変化するかは,語幹や用言の種類によって違う(「」で解説)。
接尾辞や語尾は,種類によってどの語基につくのか決まっている。例えば,-습니다「~します」なら第1語基に,면「~たら,~れば」第2語基につく。そこで,これらを1-습니다や2-면のように略記する。
活用について
語幹が母音で終わるものを「母音語幹」,パッチムで終わるものを「子音語幹」と呼ぶ。また,パッチムで終わるもののうちㄹで終わるものをㄹ語幹といい,ちょっと注意が必要である。
母音語幹にも子音語幹にも,規則的な活用をする「正則活用」と,ちょっと変わった活用をする「変則活用」がある。それぞれで,第1語基・第2語基・第3語基がどのような形になるか,以下詳しくまとめる。
正則活用(母音語幹)
第1語基 | 語幹と同じ |
---|---|
第2語基 | 語幹と同じ |
第3語基 | 語幹の最後の母音がㅏかㅗなら아を,それ以外なら어を語幹につける |
語幹が母音で終わるもののうち,後述の러変則,르変則,어変則,우変則,으変則,하変則を除いたものがこの活用をする。
第1語基と第2語基は語幹と同じ。第3語基は,語幹の最後の母音の種類によって,아または어を語幹につける。このとき,語幹末の母音と아/어が縮約して短い形になる場合がある。
第3語基の縮約
ㅏ + 아 = ㅏ |
---|
ㅓ + 어 = ㅓ |
ㅕ + 어 = ㅕ |
ㅐ + 어 = ㅐ |
ㅔ + 어 = ㅔ |
まず,縮約した結果,第1語基・第2語基と同じになるものがある。このうち下の2例,「ㅐ + 어」と「ㅔ + 어」の場合は,縮約しない「ㅐ어」「ㅔ어」の形も存在するが,話し言葉では主に縮約した形が使われるとのこと。
ㅗ + 아 = ㅘ |
---|
ㅚ + 어 = ㅙ |
ㅜ + 어 = ㅝ |
ㅣ + 어 = ㅕ |
残りの4つも,それぞれ縮約しない形「ㅗ아」「ㅚ어」「ㅜ어」「ㅣ어」も存在するが,主に縮約した形が使われる。
正則活用(母音語幹)の例
가다「行く」,되다「なる」,보다「見る」,느리다「遅い」,세다「強い」,짜다「塩辛い」など。
正則活用(子音語幹)
第1語基 | 語幹と同じ |
---|---|
第2語基 | 語幹に으をつける |
第3語基 | 語幹の最後の母音がㅏかㅗなら아を,それ以外なら어を語幹につける |
語幹がパッチムで終わるもののうち,以下の変則活用に属さないものがこの活用をする。パッチムが同じでも正則活用をするものと変則活用をするものがあったりするので注意が必要。
第2語基では語幹に으がつく。第3語基を作るときは,パッチムの前の母音の種類によって,아または어を語幹につける。母音語幹と違って縮約は起こらない。
正則活用(子音語幹)の例
먹다「食べる」,믿다「信じる」,웃다「笑う」,싫다「嫌だ」,옅다「浅い,薄い」,작다「小さい」など。
ㄹ語幹
第1語基 | 語幹と同じ |
---|---|
第2語基 | 語幹と同じ |
第3語基 | 語幹の最後の母音がㅏかㅗなら아を,それ以外なら어を語幹につける |
語幹がㄹで終わるものはすべてこの活用に属す。第1語基と第2語基は語幹と同じ。第2語基で으はつかないし,第3語基で縮約することもない。
第1語基と第2語基では,後ろに付く接尾辞や語尾の種類によって,語幹のㄹが脱落することがある。
ㄹが脱落する場合
- ㄹの後にㄴ・ㅂ・ㅅが来るとき
- ㄹの後にパッチムのㄹが来るとき
- 語尾「2-오」をつけるとき
例えば,2-려고「~しようと」のㄹはパッチムではないので,この語尾をつけるときㄹは脱落しない。2-ㄹ「~する(未来連体形)」はパッチムのㄹなのでㄹが脱落する。
ㄹ語幹の例
놀다「遊ぶ」,만들다「作る」,살다「生きる,住む」,가늘다「細い」,길다「長い」,달다「甘い」など。
ㄷ変則
第1語基 | 語幹と同じ |
---|---|
第2語基 | 語幹に으をつける。その際,語幹のㄷがㄹに変わる |
第3語基 | 語幹の最後の母音がㅏかㅗなら아を,それ以外なら어を語幹につける。その際,語幹のㄷがㄹに変わる |
ㄷ変則に属すのは動詞のみ。第2語基と第3語基で語幹のㄷがㄹに変わる。それ以外は,正則活用の子音語幹と同じ。
語幹がㄷで終わっていても,正則活用(子音語幹)に属すものもあるため注意。
ㄷ変則の例
걷다「歩く」,묻다「尋ねる」,싣다「積む」など。
러変則
第1語基 | 語幹と同じ |
---|---|
第2語基 | 語幹と同じ |
第3語基 | 語幹に러をつける |
語幹が르で終わる用言の一部がこの活用をする。第1語基と第2語基は母音語幹と同じ。第3語基では語幹に러をつける。
러変則の例
이르다「着く」,누르다「黄色い」,푸르다「青い」など。
르変則
第1語基 | 語幹と同じ |
---|---|
第2語基 | 語幹と同じ |
第3語基 | 語幹の르を取って,語幹の最後の母音がㅏかㅗならㄹ라を,それ以外ならㄹ러をつける。 |
語幹が르で終わる用言の一部がこの活用をする。第1語基と第2語基は母音語幹と同じ。第3語基は르を取ったあとの語幹の最後の母音によって,ㄹ라またはㄹ러をつける。
르変則の例
누르다「(ボタン等を)押す」,자르다「切る」,흐르다「流れる」,게으르다「怠惰だ」,다르다「異なる」,빠르다「早い,速い」など。
ㅂ変則
第1語基 | 語幹と同じ |
---|---|
第2語基 | 語幹のㅂを取って우をつける |
第3語基 | 語幹のㅂを取って워をつける |
語幹がㅂで終わる用言の一部がこの活用をする。第2語基と第3語基でㅂが脱落し,ほかとは異なる母音をつける。第1語基は子音語幹と同じである。
第3語基はふつう워をつけるが,例外として돕다「手伝う」と곱다「きれいだ」の場合は와をつける。
ㅂ変則の例
줍다「拾う」,맵다「辛い」,새롭다「新しい」,춥다「寒い」など。
ㅅ変則
第1語基 | 語幹と同じ |
---|---|
第2語基 | 語幹のㅅを取って으をつける |
第3語基 | 語幹のㅅを取って,語幹の最後の母音がㅏかㅗなら아を,それ以外なら어をつける |
語幹がㅅで終わる用言の一部がこの活用をする。第2語基と第3語基でㅅが脱落し,ㅅを取ったあと,子音語幹と同じように母音をつける。
ㅅ変則の例
낫다「治る」,젓다「かきまぜる」,짓다「建てる」,낫다「良い,優れている」など。
어変則
第1語基 | 語幹と同じ |
---|---|
第2語基 | 語幹と同じ |
第3語基 | 語幹末のㅓをㅐに変える |
어変則は,第1語基と第2語基は母音語幹と同じ。第3語基で,語幹末の母音がㅐに変わる。
この活用に属すのは動詞のみで,이러다「こうする」や그러다「そうする」など,ごく少数。
우変則
第1語基 | 語幹と同じ |
---|---|
第2語基 | 語幹と同じ |
第3語基 | 語幹末のㅜをㅓに変える |
第1語基と第2語基は母音語幹と同じ。第3語基で,語幹末の母音がㅓに変わる。우変則に属す用言は,푸다「(水などを)くむ,(ごはんなどを)よそう」だけである。
으変則
第1語基 | 語幹と同じ |
---|---|
第2語基 | 語幹と同じ |
第3語基 | 語幹のㅡを取って,そのひとつ前の母音がㅏ/ㅑ/ㅗならㅏを,それ以外の場合はㅓをつける。ㅡより前に母音がない場合はㅓをつける。 |
語幹がㅡで終わる用言のうち,러変則と르変則を除くものがこの活用をする。第1語基と第2語基は母音語幹と同じ。第3語基で,語幹末の母音ㅡがㅏまたはㅓに変わる。
으変則の例
끄다「消す」,뜨다「浮かぶ」,잠그다「閉じる,閉める」,나쁘다「悪い」,예쁘다「きれいだ,かわいい」,크다「大きい」など。
ㅎ変則
第1語基 | 語幹と同じ |
---|---|
第2語基 | 語幹のㅎを取る |
第3語基 | 語幹のㅎを取って,ㅣを加える |
ㅎ変則になるのはパッチムがㅎで終わる形容詞(ただし좋다「良い」を除く)。第1語基は子音語幹と同じ。第2語基では語幹末のㅎが脱落し,その後には何もつけない。
第3語基ではㅎを取ったあと,ㅣを加えることで,母音に以下のような変化が起こる。
ㅎ変則の第3語基
ㅏ + ㅣ = ㅐ
ㅑ + ㅣ = ㅒ
ㅓ + ㅣ = ㅔ
ㅕ + ㅣ = ㅖ
ただし,이렇다「こうだ」や그렇다「そうだ」などは,ㅓ + ㅣ = ㅐとなる。
ㅎ変則の例
까맣다「黒い」,빨갛다「赤い」,하얗다「白い」など。
하変則
第1語基 | 語幹と同じ |
---|---|
第2語基 | 語幹と同じ |
第3語基 | 語幹の最後の母音がㅐに変わる |
하다「する」と,하다で終わる動詞・形容詞(하다用言)がこの活用をする。第3語基で最後の母音がㅐに変わる以外は,母音語幹の活用と同じ。
第3語基は,語幹に여をつける形もあり,かたい書き言葉で用いられる。
하変則の例
말하다「言う,話す」,일하다「働く」,잘하다「上手だ」,친하다「親しい」,튼튼하다「丈夫だ」,피곤하다「疲れている」など。
指定詞
이다
第1語基 | 이 |
---|---|
第2語基 | 이 |
第3語基 | 母音で終わる体言のあとでは여,子音で終わる体言のあとでは이어 |
第1語基と第2語基の이は,母音で終わる体言のあとで省略されることがある。
第3語基は,3-요(ヘヨ体の語尾)をつける場合のみ,母音で終わる体言のあとでは예,子音で終わる体言のあとでは이에になる。
아니다
第1語基 | 아니 |
---|---|
第2語基 | 아니 |
第3語基 | 아니어 |
基本的には正則活用(母音語幹)と同じ。ただし、第3語基で母音が縮約しない。
また,第3語基は,3-요(ヘヨ体の語尾)をつける場合のみ,아니에になる。
語基につけるもの
語基には「語尾」「接尾辞」「補助用言」などをつけられる。
語尾 | 1-ㅂ니다/습니다「~します(ハムニダ体)」や2-면「~たら,~れば」など。語基にくっついて文法的な内容を加えるもの。 |
---|---|
接尾辞 | 3-ㅆ-(過去の接尾辞)や1-겠-(意志・推量の接尾辞)など。語尾と似ているが,単独では用いられず,必ず後ろに別の接尾辞や語尾などを伴う。そしてそのために,接尾辞自体にも3種類の語基がある。 |
補助用言 | 3+보다「~してみる」や,3+버리다「~してしまう」など。細かく言うと,補助動詞と補助形容詞がある。これ自体が用言なので活用する。 |
ここで説明した「接尾辞」は用言につく場合の話である。体言につく接尾辞および接頭辞もあるが,ここでは詳しく触れない。
補助用言は基本的に分かち書きするので,このブログでは"+"記号を使って「3+보다」のように示す。基本的には分かち書きするがつなげて書いてもいい。1-고 싶다「~したい」のように,語尾のあとに補助動詞が来る場合もある。