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言語の比較・対照/そのための多言語学習

韓国語 文法用語について

 韓国語の文法用語についてまとめておく。このブログで韓国語について書くときには,基本的にはここに書いたような用語を使うようにしたい。必要に応じて加筆する。

  • 目次-CONTENTS-

 

体言と用言

 体言は,活用せず,文の主語になることができるもの。具体的には「名詞」「依存名詞」「代名詞」「数詞」がこれに含まれる。

体言の分類

名詞 具体的事物を表したり,抽象的な概念を表したりする。
依存名詞 単独では使わず,必ず前に別の語を伴う名詞。「…さん」,「…もの,…こと」,「…個」など。
代名詞 話者や話し相手などを表す人称代名詞(「私」など),ものを表す指示代名詞(이것「これ」など),場所を表す指示代名詞(여기「ここ」など),疑問代名詞(무엇「何」など)などがある。
数詞 数を表す。韓国語では漢語由来の数詞と,韓国語固有の数詞と2種類が使い分けられる。

 一方,用言には活用がある。韓国語では「指定詞」「存在詞」「動詞」「形容詞」の4種類が活用し,まとめて用言と呼ばれる。

用言の分類

指定詞 이다「…である」と아니다「…ではない」
存在詞 있다「いる,ある」と없다「ない」
動詞 하다「する」や좋아하다「好きだ」など,動作や状態を表す。
形容詞 크다「大きい」や조용하다「静かだ」など,属性を表す

 韓国語の用言はすべて,基本形が-다で終わる。基本形は,辞書の見出しに使う形である。

 하다(ハダ)「する」で終わる動詞と形容詞を,それぞれ하다動詞」「하다形容詞」と呼ぶことがある。上の表の좋아하다「好きだ」や,조용하다「静かだ」などのこと。まとめて하다用言と呼ぶこともある。

 

用言の活用

語基について

 このブログでは,語基という考え方を使って用言の活用を示す。

 先にも書いたように,韓国語の用言はすべて-다で終わるのが基本形となっている。この基本形から-다を取った部分を語幹と呼ぶ。

 韓国語では用言が活用するとき,語幹が3種類のパターンに変化する。この3種類のパターンを,このブログでは「第1語基」「第2語基」「第3語基」と呼ぶ。

돕다「手伝う」の活用例

돕습니다

手伝います

도우면

手伝えば

도와보다

手伝ってみる

 例えば돕다「手伝う」の場合は,(第1語基),도우(第2語基),도와(第3語基)のように形が変わる。すべての用言がこんなに極端に変わるわけではなく,例えば가다「行く」の場合は第1語基・第2語基・第3語基すべてである。

 韓国語では語尾の種類によって,どの語基につくかが決まっている。例えば条件・仮定を表す「~たら,~れば」は第2語基につく。これを2-のように表す。

 語基という考え方を使うと,3種類の語基の作り方さえ覚えてしまえば,いろいろな語尾を「1-습니다」「2-」「3-」のようにシンプルに表せるので便利である。

活用について

 上で説明したように語基は3種類のパターンに変化する。この変化について,規則的な変化をする用言と,不規則な変化をする用言がある。このブログでは,規則的な活用を正則活用,不規則的な活用を変則活用と呼ぶ。

 語幹が母音で終わるものを「母音語幹」,パッチムで終わるものを「子音語幹」と言う。どちらの場合でも正則活用をするものもあれば,変則活用をするものもある。パッチムがの場合は「語幹」といって,「子音語幹」とは違う扱いをする。

 このほかに,「変則」「変則」「変則」「変則」「変則」「変則」「変則」「変則」「変則」「変則」の10種類の変則活用を区別する。この記事はあくまで用語について説明する記事なので,活用について詳しくはまた別の記事で。

 

待遇表現について

 韓国語では相手との上下関係や使う場面などによって,いくつかの文体を使い分ける。代表的なのが以下の4つで,このブログでは「ハムニダ体」「ヘヨ体」「ハンダ体」「パンマル」のように呼ぶことにする。

待遇表現の例(가다「行く」)

감니다

行きます(ハムニダ体)

가요

行きます(ヘヨ体)

가는다

行く(ハンダ体)

行く(パンマル)

 言い方がいくつかあるけど,このブログではこのように言うことにする

 

参考文献

  • 『NHK出版 これならわかる 韓国語文法 初級から上級まで』NHK出版,2021年,中島仁
  • 『デイリーコンサイス韓日・日韓辞典プレミアム版』三省堂,2019年,尹亭仁(ユン・チョンイン)