ブルガリア語のコピュラ文「AはBだ」について分かる範囲で書く。今回は基本的なしくみと,無人称文を少しだけ取り上げる。
キリル文字の翻字については「キリル文字の翻字」を参照。
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基本的なしくみ
ブルガリア語で「AはBだ」を言うには,動詞съм(sǎm)の活用形を用いる。現在形の活用は以下のとおり。
съмの現在形
単数 | 複数 | |
---|---|---|
1人称 | съм sǎm |
сме sme |
2人称 | си si |
сте ste |
3人称 | е e |
са sa |
- Аз съм англичанин.
- Az sǎm angličanin.
- 私はイギリス人です。
- Преподавател съм.
- Prepodavatel sǎm.
- (私は)教師です。
съмの現在形は文頭に来ることができないため,ふつう前から2番目の位置に置かれる(2番目より後にずれることもある)。また,活用形から主語の人称・数が分かるので,人称代名詞はしばしば省略される。
用例
いくつか例文を書く。
- Вие българин ли сте?
- Vie bǎlgarin li ste?
- あなたはブルガリア人ですか?
- Те са гърци.
- Te sa gǎrci.
- 彼らはギリシャ人です。
- Какво е това?
- Kakvo e tova?
- これは何ですか?
- Това е моята чанта.
- Tova e mojata čanta.
- これは私のカバンです。
- Това са моите очила.
- Tova sa moite očila.
- これは私の眼鏡です。
- Това списание е много интересно.
- Tova spisanie e mnogo interesno.
- この雑誌はとても面白い。
- Тази книга не е интересна.
- Tazi kniga ne e interesna.
- この本は面白くない。
- Стаята му е голяма.
- Stajata mu e goljama.
- 彼の部屋は大きいです。
メモ
Вие(vie)は2人称・複数の人称代名詞だが,敬意を示したい相手に対して「あなた」の意味でも用いられる。この意味では動詞は2人称・複数形で,述語の名詞や形容詞は単数形(例文3)。
疑問文は,疑問の中心となる語の後にли(li)を置く(例文5)。
否定文は,動詞の前にне(ne)を置く(例文9)。
無人称文
съмの3人称・単数形を使った無人称文がある。例として気温の表現を載せておく。
- Горещо е.
- Gorešto e.
- 暑い。
- Днес е студено.
- Dnes e studeno.
- 今日は寒いです。
参考文献
- 『ニューエクスプレス ブルガリア語(CD付)』白水社,2012年,寺島憲治